how to2021年6月18日金曜日

ようこそ、ヴィンテージデニムの世界へ【後編】

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 年々高まるヴィンテージ熱。特にデニムの値上がりは顕著で、今や数百万で取引される希少性の高いものも存在している。Farfetchの公式パートナーブティックでもある、老舗ヴィンテージショップ「Fake α(フェイク・アルファ)」の系列店で、創立20年の老舗ヴィンテージショップ「BerBerJin(ベルベルジン)」のディレクター藤原裕に聞くヴィンテージデニムの魅力。後編ではそのムーブメントの起源や価値について聞いていく。

ヴィンテージデニムブームの火付け役、FAKEα

 

Photo : Fabian Parkes Text&Edit : Mio Koumura

日本で初めにヴィンテージデニムに光を当てた人を知っていますか?

 

Fake αの元オーナーじゃないかな。70年代のアメリカを奥様と旅しながらジーンズショップを巡ったそうです。今なら検索ひとつで出てくるけれど昔は町の電話帳で調べて一軒一軒探して、バックルームの在庫を買い取って50年代のデッドストックを買い集めたそうです。売値としては、当時は、買値の10倍つけるのが基本な時代。その後ヴィンテージブームがきた頃からは、1本2ドルで買ったものが何百円の時代から、何千円、何十万円、何百万円にもなり得る時代になっちゃったからとんでもないことですよね。日本にはアメカジブームというものが80年代に1度あって、それがヴィンテージと言葉を変え、90年代にはスニーカーなんかもブームになった。ダウンタウンの浜田さんや木村拓哉さんら芸能人やJリーガーなどのスポーツ選手が着用して、ヴィンテージを履いていればおしゃれと言われました。いわゆる第1次ヴィンテージブームで、価格がどんどん高騰したんです。ちょうど95~98年頃で、BerBerJinは98年にオープンしたのでブームが下火になった頃。でも振り返ると、その頃は全体的に高すぎたという印象で、今になって価格が下がったというよりは落ち着いたという言葉がしっくりきますね。

 

いつ頃から価値が高まってきたのでしょうか?

 

昔から、投資目的のような視点で買っている人もいたけれど、ここ4~5年の値段の上がり方は尋常じゃないです。Levi’s本社と一緒に作ったこの本も、少なからず影響しているような気がします。僕はいい意味でヴィンテージの価値を上げたかったですし、日本にこれだけ素晴らしいデニムがあるということを証明したかったのでそれは叶ったことにはなりますが、どんどん手に入りにくくなっているというのが現状ではあります。

 

なぜそれほどまでにヴィンテージデニムに夢中になるのでしょうか?

 

理由は色々とありますが、今だにまだ見たことがないものが出てくる。それが当時のイレギュラーだったり、間違えだったりすると逆にさらなる価値がつく。そういった発見がワクワクさせるんですよね。年末にも「なんだこれ?」っていうのが出てきたんです。形は501でも見たことのない仕様だったり。まだまだ眠っているんですよ、国内にも海外にも。

これまで見た中で感動したデニムは?

 

前述の本の中でも紹介しているんですが、1800年代の501XXですね。とても希少価値が高くて、日本でも多く見積もって10本くらいしかないものです。撮影した現物は、一緒に本を作ったパートナーが持ってくれていますが、実はロスで見つけたもの。交渉が難航して買わずに一旦帰国したのですが、やはりどうしても欲しいと思った時に彼が「買うよ」と言ってくれたので、に掲載することができました。今や800万円で取り引きされていますから、買って正解ですよね。
 

501XXの本を出されています。なぜ501だったんですか?

 

501はジーンズの原点であり基本です。501に始まり、色々浮気しても最終的に501に戻りますね。スキニーが流行する中履いていてもやはりかっこいい。だから自分が納得できる色落ち、サイズのヴィンテージジーンズに出合えたらまずは履いてみて欲しいですね。

 

ヴィンテージデニムを買うときに気をつけるポイントは?

 

よく「ヴィンテージって何年物から?」と聞かれるんですが、僕らの中では70年代以前のジーンズをそうカテゴライズしています。その中から、501を選ぶこと。サイズはW(ウエスト)31~34、L(レングス)32~35が、僕らの業界ではゴールデンサイズと呼ばれています。日本人からすればアメリカ人=大きいというイメージがあるけれど、1930年の労働者の文献を見ると体型は実はそんなに変わらない。ウエストは最近だと35や36まででもいいでしょう。36でもいいですが、長いからといって裾上げしてしまうとヴィンテージ価値が落ちてしまうのでなるべく切らないことをおすすめします。そして、腰回りのフィットを合わせること。僕はお尻が大きいのでウエストで合わせるとヒップで引っかかってしまいます。ジーンズの醍醐味であるヒゲ(足の付け根部分に放射線状に数本発生する色落ち)をかっこよく作るには、腰回りがフィットしている必要がある。ウエストやインチで選ぶと必ず失敗します。

藤原さんにとってデニムの一番の魅力は何でしょうか?

 

自分にとって一番のデニムを僕はBerBerJinに飾ってるんです。昔フェイクαで買ったデットストックのジーンズを40歳の誕生日でおろして、それから毎日履いて、1年7ヵ月で自分の色落ちに仕上げたものなんですが、そういう自分好みに育てる楽しみがデニムの醍醐味でもあり、最大の魅力。そういったストーリーがユーズドデニム1つ1つにあって、同じ色落ちのものはまずないんです。そのデニムが辿ってきた歴史を、色落ち、ヒゲから感じ取ることができる点にヴィンテージならではのロマンがあり、価値がある。ヴィンテージデニムは、HermesであろうがLouis Vuittonであろうが、どんなハイブランドにも絶対に負けない、そんな強い存在感を持っていますから。

ようこそ、ヴィンテージデニムの世界へ【前編】
 

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