今年2月に逝去したファッション界のレジェンド、カール・ラガーフェルド。彼の功績を讃えた追悼プロジェクトが発足。 ”A Tribute to Karl Lagerfeld : The White Shirt Project”と名付けられた本プロジェクトは、カールを語る上で欠かせないアイコニックなアイテム〈白シャツ〉を、生前に親交のあった友人ら50名が再解釈。それぞれの感性で新たにデザインをする企画だ。
そのエキシビションイベントが、パリ・ファッション・ウィーク中の9月25日(水)に開催された。会場はパリの左岸、7区にあるメゾン カール ラガーフェルド本社。エントランスには彼が生前言っていた「ファッションアイテムの中で、私が生みの親になりたかったものは何かと聞かれたら、白シャツと答える」という言葉がこの追悼プロジェクトの背景を物語っている。
会場に入ってすぐのところには、彼のラッキーナンバーでもある「7」に掛けあわせ、今回Farfetchとカール・ラガーフェルド公式サイトで限定販売されている7名のクリエイターによるシャツが展示されている部屋が。
続いて、他43名が再解釈し、デザインしたシャツが展示されている部屋へ...。
残念ながら販売はされないものの、このエキシビションイベントを皮切りに、カール・ラガーフェルドのパリ、サンジェルマンデプレ、ロンドン、そしてミュンヘンの店舗へ回遊される。ベースとなる白シャツは同じモデルの「トリビュートシャツ」、そこへカールへの想いや、彼との生前の想い出が各々の感性で表現されている。
フランスを代表するTVプレゼンター、ディアラ・マッキがデザインしたシャツは、胸にパールのイヤリング、襟にはカールの手が描かれ、背中には彼女からのメッセージがこのように記されている。
数々のブランドのバックステージでカールにインタビューをしていたディアラが、2014年、バックステージで見当たらなくなったパールのイヤリングをたまたま見つけ、カールに手渡したところ、今日私との思い出に、とそのイヤリングをギフトされたという。そして彼女はこのプロジェクトを通じて、世界中の人が彼との思いでを刻めるよう、思い出のパールを施したシャツを発表した。
フランスの歌手/女優のルー・ドワイヨンのように、トロンプルイユのようにジャケットのフロントラインをつかむ、カールのアイコニックなポーズやスタイルを描く人もいれば、
メゾン カール ラガーフェルドのスタッフのように、彼へのメッセージを記すなど、
まるで同じシャツをベースにしているとは思えないようなラインアップが展示されている。1点1点思い入れのあるアイテムの製作の背景を知ることで、カールとクリエイターとの50通りのエピソードや、知ることのできなかった彼の新たな一面に触れることができる機会だった。
カールの愛猫、シュペットもこの企画に参加している。
会場の随所に、まっさらなシャツを展示、来場者はカールへのメッセージを記す演出も。来場したセレブリティや、世界中のプレス関係者が、それぞれ彼へのメッセージを記していた。
会場には、本プロジェクトのキュレーターでもあるカリーヌ・ロワトフェルドや、77点数量限定で販売されたシャツをデザインした村上隆氏、プロジェクトにも参加しているモデルのエヴァ・ハーツィゴヴァ、カイア・ガーバー、オリヴィア・パレルモなど、生前カールと親交の深かったセレブリティたちが集まった。
イベント会場を抜けると、本社のガーデンでカクテルパーティが。イベント終了時間を過ぎても笑い声が絶えない。
非常にパーソナルであり、クリエイティブ、それでいてエモーショナルなイベント、来場者はそれぞれにカールとの想い出話に花を咲かせたであろう。