スタイリスト仙波レナさんを迎え、ファッションにまつわるあれこれを語ってもらう「Rena’s Talk」。第2回目は、レナさんの代名詞ともいえるジュエリーについてお聞きします。インタビュー当日も12本以上のネックレスを重ねづけするなど、その洗練されたスタイルが注目を集めるレナさん。彼女ならではのジュエリーとの付き合い方を伺いながら、その魅力や楽しみ方を探っていきましょう。「ルールを狭めないで、自分らしいバランスを見つけて」というレナさんのアドバイスを胸に、いざ自分を輝かせるジュエリーを探しに。
Text&Edit : Mio Koumura
- レナさんといえば<重ねづけジュエリー>。重ねづけを始めたきっかけは何だったのでしょうか?
はっきりとは覚えていないのですが、クロスやマリア像のチャームを何個かいただいて、それを身につけたいと思ったのが最初だったかな。チャームに合うヴィンテージのチェーンを探しているうちにだんだんと重ねづけが好きになりました。
左から SYDNEY EVAN ダイヤモンド クロス ネックレス、GIGI CLOZEAU Madone、GIGI CLOZEAU Madonna チャーム、GIGI CLOZEAU ビーズ ブレスレット、MARIA BLACK George クロス ネックレス
ピアスの穴はあけていないので、耳元にはイヤカフをたくさんつけていました。電話の邪魔にもならないし、落ちないから、イヤリングよりも便利。以前はWOUTERS&HENDRIX(ウッターズ・アンド・ヘンドリックス)のイヤカフが好きで、よく重ねづけしてましたね。その次にハマったのがバングル。当時はバングルといえばHermes(エルメス)のレザーブレスレットくらいしかなかったんですよ。細いベルトを何重にも巻いたり、パールネックレスを巻いてみたりしてちょっとずつ手持ちのアクセサリーをカスタマイズしていった結果、ひじから先が埋まるほどになっちゃって、一時は「腕の人」というあだ名がついたほど(笑)。
左から ANITA KO ダイヤモンド イヤーカフ、CHARLOTTE CHESNAIS Triplet フープピアス、WHITE BIRD Suzanne サファイア イヤカフ、SOPHIE BILLE BRAHE Spirale Oreille イヤーカフ
- 最近はブレスレットよりも指輪やネックレスが注目されていますね。ファインジュエリーに目覚めたきっかけは?
独立したての頃は本物は買えなくて、どちらかと言えばアクセサリーの方が多かったかもしれません。ファインジュエリーとの出合いは、どうしても欲しくて手に入れたBoucheron(ブシュロン)のエリソン リング。30歳のときからほぼ毎日つけているけど状態が良いのは、本物だから。ちゃんとケアをしていけば、いつまででもつけていられるのがファインジュエリーの良いところですね。シーズンのトレンドが反映されるアクセサリーも素敵なものは多いですが、デザインが変わらず受け継がれ、存在し続けることがファインジュエリーの魅力ですね。
- お持ちの中で、好きなブランドがあれば教えてください。
CAROLINA BUCCI(キャロリーナ・ブッチ)には、華奢な地金のものが欲しくて探していた時に出合い、ネックレスやリング、ブレスレットなど様々なアイテムを持っているほどデザインが好きですね。あと、ブランドではないですが、ターコイズが好きなのは、地曳いく子さん(仙波さんの師匠)の影響です。ご本人もネイティブアメリカンのインディアンジュエリーをされていて、本物を扱うお店にリースしに行ったり。そこで本物の良さを教わった気がします。
左から CAROLINA BUCCI タッセル ブレスレット、CAROLINA BUCCI ラウンド ドアノッカー ピアス S、CAROLINA BUCCI Twister ブレスレット、CAROLINA BUCCI スターピアス、CAROLINA BUCCI Long Disco Ball ネックレス
- 新品だけではなくアンティークも取り入れられていますよね。
そうですね。ただあまり人にはオススメしていません。というのは、アンティークは相性があると思うんです。これは古着でも同じですが、買える値段だけど何故か迷うものってあるでしょう?ヴィンテージには誰かの願いや思いが込められた、人の<気>が入ってるものもあるから、すっと受け入れられるかどうかが重要。私もクロスのチャームが好きなのでヴィテンテージを見に行くことはあるんですが、直感で受け入れられないものは買わないようにしています。
- アンティーク以外はどうでしょうか?直感で選ばれますか?
もちろん直感もありますが、純粋に好きかどうか。安いものではないので何か背中を押してくれる理由が必要な時もありますね。去年、誕生日が近くなった頃に「1つの願いを込めて1粒ダイヤを買うといい」と同業の仲間から聞き、ずっと狙っていたけれど思い切れずにいたCartier(カルティエ)の1粒ダイヤを買いました。あと、MARIE-HÉLÈNE DE TAILLAC(マリー・エレーヌ・ドゥ・タイヤック)のオパールの指輪も、何度も悩んだ結果、「よし、お店にあれば運命だ」と思い電話をして買ったものです。私は全然スピリチュアルな人間ではないけれど、願掛けやタイミングに出合いを感じながら購入するのもジュエリーの醍醐味だと思います。
- 自分らしく身につけるコツはありますか?
手持ちのジュエリーに加えていくことが多いので、ネックレスならばチェーンの長さや、指輪なら配置といったバランスは考えますが、自分が心地良いように身につけるのが一番だと思っています。よく「シルバーやゴールド、ピンクゴールドなど色が違うものを合わせちゃうんですね」と聞かれるんですが、色をミックスしてはダメだという法則はないし、アクセサリーとファインジュエリーを混ぜてはダメという法則もない。もっと自由でいいんです。ただ、一方で最低限のルールを知ることは必要。例えば、私は今日つけているジュエリーを、仕事であれプライベートであれ、基本的にはいつもつけていますが、冠婚葬祭の際など、TPOに合わせて全部外したり、間引くこともあります。重要なのは、そのルールを知った上で、さらにその楽しみを狭めるルールを自分で積み重ねないことです。試行錯誤しながら自分らしいバランスを見つけてみてください。