LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトンが主宰する「LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE(LVMHヤング ファッ ション デザイナー プライズ以下、LVMHプライズ)」を知っていますか? 1年に1度、グローバルで活躍するファッショ ンデザイナーを発掘することを目的に開催される若手デザイナーコンペティションで、コンテストの審査員を務めるのはLVMHに所属するデザイナーたちとあって年々、その影響力は高まっています。2018年には「doublet(ダブレット)」の井野将之が日本人デザイナーとしては初のグランプリに選ばれたことで、日本でも広く知られるようになってきました。2020年は残念ながらコロナウイルスの影響でグランプリ選出は見送りとなりましたが、最終審査まで残ったトップデザイナーの卵たちが生み出すクリエイションは一見の価値あり。すでに世界のブティックが注目し始めている、才能にスポットを当てていきましょう。
Text:Mio Koumura
▶Casablanca(カサブランカ)
写真左から 上段 プリントシャツ、ダルメシアンパターン セーター 下段 Ocean Resort シャツ、Ski プリント シャツ
フランスを拠点とする気鋭メンズブランド「カサブランカ」のデザイナーのCharaf Tajer(シャラフ・タジェル)は、Pigalle(ピガール)の共 同創設者であり、またVirgil Abloh(ヴァージル・アブロー)のコンサルティングも行ってい るパリ・ストリート界の重要人物です(詳しくはこちらのリンクをチェック)。ブランド名のカサブランカは、自身のルーツから付けられたもの。シグネチャーのシャツはシルクのように軽く、そして鮮明でカラフルなのにノスタルジーを感じさせるグラフィックが特徴です。
▶Chopova Lowena(チョポヴァ ロウェナ)
写真左から チェック シャツドレス、ハイウエスト スカート 下段 ベルテッド チェックスカート、コントラストパネル スカート
「チョポヴァ ロウェナ」は、Emma Chopova(エマ・チョポヴァ)と Laura Lowena(ローラ・ロウェナ)のデュオが手がけるロンドン発のブランド。シグネチャーのプリーツスカートは、エマのルーツであるブルガリアの伝統プリーツと登山道具のカラビナとを太めのベルトで繋げて作られる、クラフトマンシップとアクティビティスポーツの融合から生まれたものです。セントラル・セント・マーチンズの旧友でもある2人のクリエイションは、年齢層広くファッショニスタに受け入れられています。
▶Supriya Lele (スプリヤ・レレ)
写真左から 上段 シアー ドレス、ドローストリング スカート、下段 ドローストリング スカート、ジップ ミディドレス
デザイナースプリヤ・レレは2019年にロンドンファッションウィークでランウェイデビュー。その後、Jamie Hawkesworth (ジェイミー・ホークスワース)が初のキャ ンペーンを撮り下ろすなど、確実にスターダムへの階段を登っ ています。インド人の両親のもとイギリスで育ったというルーツから、インド特有の伝統的な装いをベースにシアーな素材やカッティングなど新生代である彼女のアプローチを織り交ぜたフェミニティを感じさせるスタイルが特徴。ネオンカラーや シースルーなどの素材と流動的なシルエットとのマッチングに、彼女のセンスを感じさせます。
▶PETER DO(ピーター・ドゥ)
写真左から 上段 Junkyard プリントシャツ、アシンメトリー ロングスカート、下段 コントラストパネル スカート、プリーツスカート
ベトナムで育ち14歳でアメリカに移ったというピーター・ドゥは、2018年にNYでスタート。ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)在籍中にLVMH グラジュエーツ プライズ(LVMH Graduates Prize)を獲得した実力派で、近年ではPhoebe Philo(フィービー・ファイロ)時代に「CELINE(セリーヌ )」のデザインチームの1人だったということでも注目が高まっています。アイコンはヨーロッパの工場と共同開発したというス ペーサー素材。薄いのに断熱性があり、形状記憶できるためシワの心配がない同素材は、毎シーズン改良されコレクションに落とし込まれています。